先日、知り合いの中国人から『知らん』の使い方を教えて欲しい、と言われました。
ネットで「『知らん』の6段活用」という記事を見つけたそうなのです。
しかし、翻訳機を使うと、「全てが『知らない』に変換されてしまう。
微妙なニュアンスの違いが分からない」とのことでした。
「知らん」「知らんわ」「知らんがな」「知らんけど」「知らんし」…。
私達関西人は何気なく使っている言葉です。
無意識に使い分けています。
しかし、人に説明しようとすると上手く説明できないものですね(笑)
ですので、その彼女が見たという記事を私も見せてもらったのですが、
「なるほど!」と思いました。
それはこちら。※英語訳と中国語訳は私が勝手に付け足しました。

今回はこの表に加えて、もう少し詳しく解説しようと思います。
1.知らん
・本当に知らない
一番シンプルでストレートな「知らない」の表現。
あっさりとした返答に使われます。
例:「おかんどこ行った?」
「知らん」(知らない)
2.知らんわ
・私も知らない
「知らん」に「わ」をつけることで、確かに「私も知らない」という表現になりますね。
例:「おかんどこ行った?」
「知らんわ」(私も知らない)
・言い方によっては呆れた感じや突き放す言い方になる
「もう、あんたなんか知らんわ!」
直訳すると「あなたのことなど知りません」です。
しかし、意味は「あなたかどうなっても知りません」となります。
言い方には注意しましょう。
3.知らんし
・どうでもいい。私には関係ない。
「私に関係ない。」という気持ちを込めて使うことが多いです。
例:「うちのおかん、ダイエット始めたらしいで」
「知らんし」(どうでもいい)
・知らないから聞かれても困る、知ってるわけがない
例:「うちのおかん、どこ行ったか知ってる?」
「いや、知らんし」(知ってるわけがないでしょう)
4.知らんねん
・知らなくて申し訳ない
「知らんねん⤵」となると、
「知らなくてごめんね」という感情の時に使うことが多いです。
今まで深く考えたことはありませんでした。
なんということでしょう!
つまり「ねん」に「申し訳ない」が凝縮されていたのですね!
・本当にしらない(知らないことを強調)
関西特有の「〜ねん」を付けた強調。「本当に知らないよ!」という驚きや断固たる否定感。
例:「ここにあった本、知らん?」
「ほんまに知らんねん!」
5.知らんがな
・関係ない・興味ない
「知らんし」に類似。
相手に対して強めに「本当に私に関係ないし!」とツッコむときに使われます。
例:「うちのおかん、ダイエット始めたらしいで」
「知らんがな!」(興味ないし!)
6.知らんけど
・確信はない・責任は持てない
2022年のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10にも入ったこの言葉。
「確証はないけど」「責任は取らないよ」「たぶん、そうなんじゃない?」
という保険のようなニュアンス。
冗談まじりや曖昧な情報のときに便利です。
例1:「あんたのおかん、買い物でも行ったんちゃう?知らんけど。」
(あなたのお母さん、買い物でも行ったのでは?確証はないけど)
例2:「今日は暑いな~。ハワイみたい。知らんけど。」
(今日はハワイみたいに暑いね。【行ったことないから】知らないけど。)
→ここで、「知らんのかい!」とツッコミが返せればパーフェクト!
7.知らんて
・知らないって言ってるでしょう
同じ質問や指摘に反論する場合に使います。
例:「これ、ほんまにあんたの靴下ちゃうの?」
「何回聞くねん。知らんて!」
・初耳です
例:「さっき言うたやん」
「知らんて!」(初めて聞きました)
8.知らんで
・どうなっても知らないからね
軽い注意や忠告を添えて「(どうなっても)知らないよ」と伝える表現。
例:「はよ行きや!知らんで!」
(早く行きなさい!遅刻しても知らないよ!)
9.知らん、知らん
・全く知らない
強く否定を重ねることで「全く知らない」という意思をはっきり示す表現。
例:「何か隠してない?」
「知らん、知らん!」
・関西人の特徴:2回言う
関西人は短い単語をなぜか2回繰り返すという特徴があります。
「あかん、あかん」「食べて、食べて」など。
これについては、またいずれ解説してみたいと思います。
「知らん」をマスターしよう
「知らん」と一口に言っても、その言い方によって意味もニュアンスも大きく変わります。
関西弁の面白さは、こうした細かな表現の違いにあります。
あなたも今日から「知らん」の使い分けをマスターすれば、関西人との会話をもっと楽しめるはず!
知らんけど。
関西弁に興味がある方は、こちらの記事もどうぞ:
関西弁のよく使う日常フレーズ10選 をご覧ください♪
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